国土交通省では、アパートなどの賃貸住宅を明け渡す際に多くみられる、敷金の清算をめぐるトラブルの未然防止と円滑な解決を図るため、原状回復の費用負担のあり方について妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとしてまとめています。
ただし、すでに賃貸借契約を締結されている方は、通常の場合、現在の契約書は有効であると考えられ、原則として契約内容に沿った取り扱いとなりますが、契約書の条項があいまいな場合や契約時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いをして下さい
こんなトラブルが…
家具を置いたところにできた畳のへこみで、和室全体の畳の張り替えを請求された。
煙草を吸っていたからと壁紙の全室張り替えを請求された。
居室全体のハウスクリーニング代として家賃1カ月分を入居時に支払った。8年住んでいたからと、風呂釜を新品に取り替える費用を請求された。
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ガイドラインのポイント
アパートなどの退去時に「敷金の清算」として借主が負担する「原状回復費用」とは、完全入居時の状態に戻すことではなく、借主の故意や不注意などにより生じた消耗、キズなどの破損部分を元の状態に戻すことをさします。したがって、経年劣化、通常消耗、通常使用による変化まで借主が負担する負担する必要はありません。経年劣化や通常消耗による修繕費は、支払っている家賃に含まれているとされています。
古くなった設備を最新のものに交換したり、化粧直しなどのリフォームなどは、次の入居者を確保するためのグレードアップとなり、これは貸主の負担です。
借主の責任によって生じたキズを修理するための費用は、破損部分の修繕工事に必要な施工の最小単位に限定されます。(壁紙の例:原則㎡単位、もしくは破損部分を含めた一面)またその破損部分は経年劣化しているので、その分を差し引いたものが借主の負担額となります。(ただし、畳表、フローリングなど経過年数を考慮しないものもあります)
- 貸主と借主の負担区分(一般的な事例) -
貸主負担(経年劣化、通常消耗などによる変化)
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借主負担(不注意や不具合の放置などによる汚損)
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トラブルを未然に防ぐため、次のことに留意することが重要です!
- 賃貸借契約の前に必ず原状回復の内容をよく確かめましよう。
- 入居時の物件確認を行いましょう。(貸主と借主が立ち会って確認するか、貸主が立ち会えない場合には借主だけでも、写真(日付入り)をとっておくと役立ちます。)
- 入居時はマナーを守り、修繕などが必要となった場合は放置せず、こまめに連絡をしましょう。
- 退去時の物件確認もしっかり行いましょう。
不動産トラブルホットライン
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